「泉北ラボはあたたかい場所」乗組員・鳥山碧さんに卒業記念インタビュー

みなさんは泉北ラボの乗組員をご存知でしょうか? 泉北ラボの、あるいは泉北ニュータウンの顔の見える関係をつくっているのが、わたしたち乗組員です。今回は乗組員のひとりで、大学4年生の鳥山碧さんが卒業するため、卒業記念インタビューを行いました。

どういう経緯で泉北ラボに関わることになったんですか?

もともと卒業論文のテーマを考えていた時に先生から泉北ニュータウンがいろいろ盛り上がっていると聞きまして。それでメールで問い合わせてみたところ、穂積さんから「お話ししませんか?」とお声をかけていただきました。ボランティアのつもりでしたが、「アルバイトしない?」と宝楽さんが言ってくださって、乗組員になった経緯があります。

どれくらいのペースで働いているんですか?

週によりますが、水木金あたりにいまして、曜日固定ではなく週1回、2025年10月以降は週2で入ってました。

泉北ラボでは、どんな仕事を担当しているんですか?

接客・案内が中心

まずは、基本的な接客です。コピー機を使われる方とか必要ならちょっとお手伝いするとか案内するとかをしていました。はじめて泉北ラボに来られた方はキョロキョロされていたりするので、そういう方にはフリーペーパーのハロー泉北ラボやコミュニティフリッジのチラシなどをお見せして、説明させてもらったりしていました。

レンタルスペースの予約対応

ほかには私はレンタルスペースの予約対応と、初めて利用される方の面談などもさせてもらっていました。

コミュニティフリッジ利用者の面談

面談といえば、コミュニティフリッジを利用したい方の面談もさせてもらっています。

ふだん、会わないような人に会う体験をされているんですね。

そうですね、しんどい思いをされている方に会うことはなかなかないですね。個人的な話ですが、私の母が小さい時は、ひとり親家庭だったのもあって、まったく知らない世界ではなかったので、寄り添って聞くことができている面があると思います。

泉北ラボで働いたからこそ印象に残っていることはありますか?

本当にいろんな方が来られる場所じゃないですか。普通にまちで歩いてたり、友だちとかと話してたら、やりたいこととか地域をこう変えていきたいとかと聞くことがないし、さまざまな人の背景が知れたというのは泉北ラボならではだと思っています。

レンタルスペースで言うと、普段、お仕事をされていて、その仕事終わりに面談をしに来た女性の方でいらっしゃって、参加者が集まらなくて開催にはいたらなかったのですが、仕事しながら準備もすすめてがんばっている様子を見るとすごいなと思いました。

コミュニティフリッジで言うと、高齢者の女性が重たそうなお醤油をもってきてくださったことがあって、そんなに地域の人のとか、子育て中の人のためになればという人がいるんだ、というのが強く印象に残ったのもありますし、逆にフリッジの利用者の方も面談していますが、自分が食べるのを我慢して子どもに食べさせたいという人や、子どもにお弁当を用意できないのが申し訳なく思っている人の話も聞いて、さまざまな状況の人が集まっているので、こういう特殊な場所が今の時代に必要なんだと思ったり。

泉北ラボで気に入っているところはどんなところですか?

居心地がいいといろんなお客さんに言ってもらえますし、私もそう思っています。私はさまざまなバイトをしてきましたが、泉北ラボでは責められることがないんですよ。コピー機の使い方を聞かれて、「姉ちゃんやってくれる?」と言われてやってみるけどうまくいかない。そんなときでも誰もイライラしない。同時期にスーパーマーケットのレジのバイトもしていましたが、イライラしているお客さんをたまに見かけるのですが、そういうのがぜんぜんない。泉北ラボはみんなが少しずつゆとりを持ち寄って過ごしている場所なのかという感じがします。利用者が共通して温かいです。

それで論文はどういう切り口で書くことになったんですか?

いろいろさまよってはいましたが、「ソーシャル・キャピタル」、日本語にすると「社会関係資本」という概念があるんですけど、例えば地域で人と人がつながることって社会的な資本価値があるよという概念なんですよ。

信頼と規範とネットワークという3つ要素があるんですけど、その3つの要素を持って 社会関係資本が成り立つという定義があって、泉北ラボでの人のつながりって、この視点から書けるのではないかと思って、そういう切り口で分析しましたね。

2022年1月に泉北ラボができるんですが、その前から実は「つながるDays」などイベントを通じて人のつながりができていって、泉北ラボができてどんどん増えて今にいるので、自分なりに泉北ラボの歴史を「ソーシャル・キャピタル」という視点で見ると3段階に分けられると思ったんですよ。

泉北ラボ3段階の歴史とは?

泉北ラボの歴史を特徴ごとに3段階に分けて、「いつ」「誰が」「どのように」ソーシャル・キャピタルを形成したのか、そのプロセスを分析したのが卒業論文の内容です。

1段階 地域住民とつながる時期 2023年前半

財団や泉北ラボの自然史(なりたち)を宝楽さんに話してもらったんですよ。そうすると、泉北ラボができた当初はわりと地域住民とのつながり形成だと自分が定義づけました。

地域住民というのは高倉台に住む方ですが、あいさつして地道に広めたり、フリーペーパーのハロー泉北ラボをポスティングしたり、地域住民の方にいかに信頼してもらえるかを大切に、主に宝楽さん中心に活動されていました。また、Yy cafe店主の山中さんもキーパーソンでして、カフェ利用者の地域の方とお話しする中で多くの人とのつながりをつくり、信頼関係を築かれていました。

2段階 ファン形成と泉北ラボ的場所の横展開の時期 2023年後半

レンタルスペースを利用されている勝丸さんというケアビューティーの代表の方など、カフェ以外の利用者が増え、さまざまな人が色々な目的で泉北ラボを利用するようになった時期です。レンタルスペースの利用者が増えたので、その方たちがどんどん人を惹きつけて、地域内外問わず泉北ラボに訪れる人が増えました。

横展開の話で言うと泉北ベースという財団の休眠預金を使ってできたコミュニティスペースがありますが、そういう横展開が生まれた時期ですね。

3段階 専属コーディネーター体制確立時期 2024年

穂積さんが参加されたのが大きいと思うので、コーディネート体制の確立時期と私は呼んでいます。正社員で専門の方が現れたのは大きいと思ってまして、効果としてはもともと宝楽さんが作っていた大学生とのつながりを活かして泉北ラボの活動により深く関わってもらえるようになったことだと思います。泉北コミュニティフリッジの食品寄付を増やすために大学生が取り組んだ「ユースワークセンター」もその1つです。このあたりでその人のやりたいことや目標に合わせて泉北ラボに関わってもらう、そんな「コーディネート」が整ってきた、というのが重要だと思っています。

いまお話ししたようなことを図式化して書いたりしています。個人情報がたくさん出てくるので公開はしてないのですが、泉北ラボに論文の現物を置いてそれを読めるようにしようとしているところです。

泉北ラボで働いたからこそわかったことはありますか?

つながりなんですけど、さきほどソーシャルキャピタルと言いましたが、泉北ラボって珍しい社会関係資本があると気づきました。

社会関係資本には、いろんな定義があるんですけど、2種類に分類できるんですよ。

ひとつは結束型。自治会とか同窓会のような似たような人が集まるもの。

もうひとつは橋渡し型。NPOとか市民団体のようなかたちで外部との連携があるもの。

これが一般的ですが、泉北ラボはどちらもあり、それらが組み合わさったものもあるというのが私の見解としてありまして。

例えばですね、手持ち花火大会の取り組みが以前開催されましたが、それはYy Cafeの山中さんと自治会長との世間話からはじまったものなんです。

山中さんがいまは子どもが花火する場所がないよね、と話したところ、わずか2〜3日で開催が決まったんです。これは元々、大阪健康福祉短期大学さんとか自治会連合自治会長の方とかとつながりがあって、付き合いもそれなりに長くて信頼関係があったからこそ短期で開催できたと思うんです。

あとユースワークセンターという取り組みがあったんですけど、それは大学生と財団が、 コラボして大学生に、コミュニティフリッジの寄付を増やすにはどうしたらいいかと考えてもらって、プレゼンも作成してもらったり、データを集めてもらったり、アンケートを取ったりしてたんですね。 それで結果的に生協さんと連携できたんですよ。  それで、企業もつながったわけじゃないですか。

全然違う背景の団体と人がつながったのって橋渡し型じゃないですか?

さらに言うと、先ほど話したレンタルスペースでの勝丸さんの活動で言うと、勝丸さんと参加者の方が深くコミュニケーションを取っている。あんまり人に言わないような、ディープな相談とかもするわけなんですけど、短大の学生さんだったら就職のこととか恋愛とかいろいろ細かい話をされていたみたいなんですよ。それって勝丸さんの力かコミュニケーション力だと思うんですけど、そういうことを聞いて勝丸さんと参加者の信頼があり、社会関係資本を共有することで、支援が必要なレベルになれば、いざというときに何か支援することができるかもしれないじゃないですか。

なので結束型と橋渡し型があわさっているという発見があって、泉北ラボで働く前はなんとなく橋渡し型のイメージでいましたが、実際働いてみたら広がりも深さも濃厚な場所なんだというのが大きな発見でした。

どんな人なら泉北ラボで活躍できると思いますか?

話を聞くのが苦じゃない人はやっぱり要素として必要かとは思っています。私もまだ全然なんですけど、質問力というか、コミュニティフリッジなどはちょっと人に 言いにくいことをしてもらうときに不愉快にならないように深掘りするのってすごく難しいと思うんですが。

あとはフランクに話しかける力。私はそれがすごく苦手で面談とか目的があれば話せるんですが、なかなか遠慮しちゃったりします。中島さんはすごいそれが上手なんですよ。泉北ラボってガラス張りじゃないですか? 看板をじーっと見てらっしゃる方とかに中島さんは積極的に話しかけていて。

その話の延長で泉北ラボの仕事で今までしてきた経験で役立ってることってありますか?

メールの対応で日程調整をすることがすごく増えまして。面談も普通の仕事ではなかなかできないですよね。私は春から鉄道会社に就職するのですが、間接部門の部署に配属されることがわかっていたので、希望して調整する仕事をさせてもらっていました。

よくわかりました。言い足りなかったことはありますか?

乗組員のメンバーがすごく面白い人ばかりで、一緒に働かせてもらってよかったなと思います。私はわからないと何度も質問するタイプなんですが、穂積さんとか嫌な感じせずに回答してくださるのがよかったです。山中さんから上手な薪ストーブの炊き方とかチャットGPTのこととかいろいろ教わりました。

ありがとうございました!

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